オススメの一本：杉錦
杉錦ではなんと造りの80％が生もと、山廃の酒母での酒造りを行っており、名醸地・藤枝の中でも異彩を放っています。
杉井酒造は天保13年（1842年）の創業で、初代・杉井才助が豊かな湧き水の出ていた常泉寺（現存します）という寺の隣地に蔵を建てたそうです。明治から大正にかけては「亀川」「杉正宗」、昭和初期より「杉錦」の名称で生産を行っています。
杜氏は2000年の造りより代表の杉井均乃介氏（写真）が兼任しております。
元々、伝統的な手作業による米洗い、蒸し、蓋麹と箱麹による手づくりの麹、冷蔵設備の中での酒母造り、低温発酵、酒袋を用いた槽による搾り、冷蔵瓶貯蔵など400石クラスの小さな蔵ならではの細部まで気を配った酒造りを行っておりますが、近隣の蔵と一線を画するのは生もと、山廃の酒母での酒造りです。
静岡型の淡麗な酒質を基本としながらも、味わいが乗りかつ、キレのいい食中酒を醸しています。
こちらの特別本醸造や純米吟醸酒を飲めば分かるのですが、元々はスタンダードな吟醸造りでも素晴らしい酒を醸しつつ、さらに市場の中での日本酒の位置を向上させようと意欲的な取り組みを続けています。
その答えとしての生もと、山廃であり、多くの方にこれらの酒を飲んでいただきたいと思います。